4-5.情報化の影の部分について

次に、この事件に関して、情報化の影の部分についてお聞き致します。 愛知の主婦殺害事件も西鉄高速バス乗っ取り事件においても、少年はインタ−ネットに熱中し、仮想現実のなかにはまっていました。犯罪医学専攻の教授は「インタ−ネットの世界は匿名の世界で、自分を傷つけずに暴君的に振る舞うことが出来る。そして実際の世界で挫折した幼児的な万能感を持つようになる。しかし、もちろん現実生活では、それを実現できないため、彼らは、身近な弱者を見つけては傷つけて万能感を満たそうとしている」と言っています。また、『コンピュ−タ−が子供の心を変える』の著者である米国のジェ−ン・ハ−リ−は「インタ−ネットをやる人は、そこで別 の人間になり、その新しい自分が他人から愛され気に掛けてもらっていると思うようになる。特に少年は、自己意識のために社会的な環境を築くのが苦手であるから、現実よりも安易な道を用意してくれるインタ−ネットの世界は魅力的にうつる。」と言っています。私は、子供達が、情報社会のなかで、コンピュ−タ−を使いこなしていくための教育は、もちろん必要で大切なことと思います。しかし、子供達が、テレビの仮想現実の世界に浸りきることによって目に見えない感情を理解できなくなり、現実感を喪失し、さらには命をもてあそぶ危険も出始めていると思います。大変気になるしだいです。 この主の事件は、他にも続々と出てきています。新潟県の七十一歳の主婦を殺害した少年は「朝目覚めると、ふと自殺したくなった。人を殺せば自分も死ねるはず」と供述し、横浜市の中学生の母親を刺し殺した中学2年生の少年は、「人を殺すとどうなるか知りたかった」と供述しています。今年の五月起きた愛知県の主婦殺害のおいて、加害者の高校三年生の少年は、「殺人は、僕にとって、どうしても体験しなければならないことだった。」と供述しています。 どの少年も、テレビゲ−ム、インタ−ネットに熱中し、現実感を喪失しているのが共通 点でありました。 国においても総理大臣直轄にバ−チャル・エ−ジェンシ−「教育の情報化プロジェクト」が、平成十年十二月に設置され、昨年の12月に報告書を書き上げました。その中で、「子供達が、バ−チャルな空間に埋没することによって、自然体験・社会体験の不足、人間関係の希薄化、現実感の欠如を招くなど、いわゆる情報化の「影」の部分も懸念されている。そのため、これまでの「心の教育」もより一層充実させる必要がある。」そこでお伺いいたします。現在の情報教育は何を基準にどのように進められているか、また最近、バ−チャルな空間に埋没し命自体が分からなくなった少年が増えており、また先の国の報告にもあるが、情報化教育と合わせて「心の教育」をより一層充実さす必要が言われているが、県としてこうした情報化の影の部分をどのように認識し、情報教育を指導していこうとしているのか。

 

情報化のいわゆる影の部分への対応は、今後ますます重要な課題になると認識をいたしております。今後とも自然体験、社会体験を豊富にし、児童・生徒が現実感を喪失することなく、良好な人間関係が築けるよう、またプライバシーの保護や著作権等に対する認識など、いわゆる情報モラルを身につけられるように指導する。

 


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