1-1PFIの導入等について

 

 私は、まずバランスシート及びPFIの導入等、財政関係についての質問から始めていきたいと思います。
 民間資金等の活用による公共施設等の整備促進に関する法律、いわゆるPFI推進法が国会で成立し、新聞でも、今、盛んにPFIについて報道されるようになりました。既に東京都の発電事業、神奈川県の保健医療福祉大学整備事業、大阪府の庁舎建設等、このイギリスで確立したPFI、つまりプライベート・ファイナンス・イニシアチブという手法の導入を模索する自治体が次々と出ています。このPFIを活用すれば、行政といいますか公共セクターは資金調達も多様化し、民間企業は新たな事業機会を得ることができ、県民はより少ない税負担でより質の高い公共サービスを受けられると説明されています。しかし、このPFIをよく調べてみますと、私が思うには、イギリスでそうであったように、極度の財政難に陥った行政が、どうしても民間資金の導入しか道がなくなり、その民間資金導入のために民間の資金調達手法を適用していったということであります。さらに言えば、公共セクターの持っていた資本、また独占していた公共サービスをPFI推進という言葉を使いながら売りに出し、資金を集めるということのように思います。もちろんその他には、さまざまな法律制度の改正が推進されねばなりません。

 神奈川県はリースバック方式で資金調達を進めていることをよく聞きます。これは民間が本社ビルをリース会社に売却し、そのリース会社から一たん手放したビルをリースして借家住まいをするという方式で、一時的にまとまったお金が入ってきます。この方式はバランスシート上で資産を消去することから、よくオフバランス手法と言われ、資本当たりの利益の率を上げ、企業の評価を上げていくためによくとられる民間手法であります。私はPFIの行き着くところはこれに似ていると思います。つまり、PFIの目標とは、行政といいますか、つまり公共セクターは住民に公共サービスを行い、その質を管理しながら、公共サービスのための資産を持たない姿ということであると思います。こうしたPFIを推し進めるための概念として、VFM英語で申しわけございませんが、バリュー・フォー・マネーというものが、イギリスでも日本でも、今、盛んに言われています。一定の税金で最も価値のある高いサービスを提供するという考えであります。最少の税金で最大の公共サービスという効率性が赤裸々に問われていくということであります。

 そして、このPFI事業を立ち上げるために、今までの融資と違った詳細な契約できちんとリスク管理した先進的なファイナンスの適用が特徴となっています。そのファイナンスを成立させるためには、自治体自体の財政状況が市場の目でもって問われていき、契約に記述されたリスク管理が果 たして可能な自治体の資産状況であるかが問われるものとなります。そこに今までの歳入・歳出の年間の現金の出入りだけではなく、ストック情報である資産や借入金退職金債務などの負債を整理したバランスシートが必要となってきます。また、自治体にとってもこのバランスシートを毎年つくることによって経済対策の効果 、効率性が把握できるようになります。

  このように、PFI導入を検討していくとき、民間と、ある意味でなれ合い的なイメージではなく、しっかりした輪郭ある役割分担とリスク管理も含めた詳細な契約がファイナンスを引き出していき、さらに民間のプロジェクト感覚が行政に育ち、ひいては税金をより効率的に生かされていくものと思います。また、それと同時に、行政というものが一体どこまでビジネスライクにやっていくものかという根本的な理念が問われてくると思います。

  いずれにしても、どちらを選ぶか、ゼロか百かではなく、これから来る深刻な地方財政の危機に対して幾重にも備える意味で、さまざまな手法の検討に取り組むべきだと思います。そこでお伺いいたします。

 まず第一点として、先ほど述べた観点からPFIを県として積極的に取り組み、金融機関やプロジェクト事業に経験を積む企業等のアドバイスを受けつつ研究を積んでいくべきだと思うがどうか。

  今月六日に決定しました次期総合5か年計画の大綱におきましては、重点的政策課題の一つとして協働型社会づくりを揚げまして、これまで行政が担ってきた分野についてもPFIなどによる民間活力の活用を進めることにいたしております。本県におきましても庁内にPFI施策推進会議を設けまして、情報収集、PFI導入の問題点の整理、導入可能な事業の抽出や具体的な事例研究を行うなど、積極的に検討してまいりたいと考えております。

県議会レポートメニューへ