2-1遺伝子組み換え食品の安全性について

 

 次に、遺伝子組み換え食品についてお聞きいたします。
 昨年八月十一日の新聞報道に、イギリスのロウエット研究所において殺虫たんぱく質を生成する遺伝子組み換えジャガイモをラットに食べさせたところ、免疫力の低下が見られ、脳、肺、腎臓等の各内臓の重量 も明らかに低下し、胃の内壁にもがんにつながる症状も見られ、さらに通常のジャガイモとの栄養成分の比較においても、たんぱく質、でん粉、糖の量 が明らかに違っていることが、この実験で明らかになったと報道されました。イギリスではこの実験により遺伝子組み換え食品の危険性が再認識され、チャールズ皇太子が遺伝子組み換え食品の安全性は本当に確保されているのかと懸念を新聞に表明し、イギリスの食品業界では遺伝子組み換え食品を除こうとする動きが高まりつつあります。私はこの報道を知り、やはり心配していたことが起きたと思いました。平成九年の二月議会で質問し、また要望させていただきましたように、遺伝子組み換え食品はまだまだ安全の基準が確立されていないと私は思います。

 国は世界貿易の拡大を意図するOECDが基準とした、いわゆる実質的同等の理論を採用しています。遺伝子組み換え作物と普通 の作物を、姿、形、主要成分と比較し、ほぼ同じであり、かつ遺伝子操作によって新しくつくられる物質の安全性を確保すれば、それはもとの作物と同等であるとする考えです。ここには組み込んだ遺伝子によって、その遺伝子がつくり出す以外の物質をつくり出さないという仮定事項といいますか、大前提があります。私はここに大きな誤りがあると思います。それは私たちの日常感覚でもわかります。体の中の臓器や細胞、そういったものもある意味では一つの生命体であり、そして細胞の核内にある遺伝子も、ある意味である条件で生きている一つの生命体です。その生命の中の一部が切られ、別 の生命体の一部が移植されるということは、当然、拒否反応を伴うことは否定できないことであります。特に遺伝し組み換え食品は有用遺伝子のほかに、その遺伝子を活動させるスイッチの役割を持つプロモーター遺伝子も組み込まれています。これが組み込んだ有用遺伝子以外の眠っている他の遺伝子を目覚めさせ、働かせる可能性があるのです。眠っている遺伝子が目覚めるということは、新規なたんぱく質をつくるということであり、それが毒性を持ちアレルギー源となったり、免疫力を低下させる物質をつくることはあり得るのです。この記事が出て一年以上、議会での登壇の機会がありませんでしたので、また再び改めてここに話させていただきます。そこでお伺いいたします。

 我が県はかずさDNA研究所を持ち、次々とゲノム解析に実績を上げています。また、農業試験場ではバイオ技術を駆使して遺伝子組み換え作物にも取りかかっています。このようなDNA研究の先進県として、県民の素直な意識にもあると思いますが、遺伝子組み換え食品の安全性について研究し、知見を集め、安全性について発言し、意見を持ち、県民の期待にこたえるべきと思うがどうか。

 遺伝子組み換え食品に係る安全確認につきましては、極めて高度かつ専門的な知識・技術を要することから、国が安全性評価指針を定め、審査・確認を行っておりまして、県といたしましては国の方針に沿って対処しているところでございます。

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