3-1教育長期ビジョンについて

次に家庭・地域と連携する教育についてお伺いいたします。
 アメリカの科学雑誌「サイエンス」の最新号は、ラットを使った実験において、幼児期に愛情を受けると、成長し、親になって愛情豊かな親になるという結果 を発表しました。子供の面倒を熱心に見るラットの親に育てられると、大人になって自分の子供を熱心に育てるという結果 であります。逆に、子供を大切にするラットからたとえ生まれても、幼児期の愛情が足りないと子育てに手を抜く親となる。また幼児期に親の愛情を受けたラットは恐怖心を抱きにくく、見なれない環境に置かれても好奇心旺盛に周りを探索し、さらに脳内の情報伝達を担う遺伝子の働きにも違いが見られたということが述べられていました。私はこの論文を読んで、児童虐待を行う親が、やはり子供のころ親に十分愛されていなかったとよく告白するのを思い出しました。
 また、兵庫県の青少年の心の問題対策研究会で行ったいじめと親の愛情の関係の調査においても興味深いデータが出ています。親が大事にしてくれた子供と、全く大事にしてくれなかった子供では、いじめ体験といじめられ体験において明らかに差が出て、いじめ、また、いじめられることは、親の子供への愛情不足にもかかわるということでありました。
 子供のとって厳しさを含めた本当の愛情でもって、家庭で、地域で教育を受けることは、その子供が親となり、その子供にも大きな教育力を連綿と与えていくことになります。その意味で、教育長期ビジョンの基本テーマとして、学校・家庭・地域社会が一体となって教育力を高めると述べ、その施策として地域コミュニティーづくり、学校の地域学習センターへの転換等、五つの視点を示しておりますが、どれも大切なことであると私は思います。
 ところで、学校・家庭・地域社会が一体となって同じ重さで子供教育の役割と責任を共有することが大切であるとして、既に多くの学校教育現場において地域教育協議会が組織され、活動を始めております。長期ビジョンにおいても、開かれた学校として地域づくりの拠点としての役割を果たし、触れ合い交流でき、人間形成の場としてふさわしい学校環境整備、また地域住民が相互に理解と交流を深めるための市町村への支援の充実をうたっております。

 

 教育長期ビジョンでは学校を地域学習センターへ転換することとしているが、このための市町村支援をどのように与えているのか。

  学校は地域の貴重な教育財産であり、その資源や機能は児童・生徒のみならず広く地域住民にも開放されるべきものであるというふうに考えております。 今後、地域学習センターへの転換に向けては市町村の積極的かつ自主的な取り組みに期待をしているところでありまして、具体的な方策につきましては今後の5か年計画の中で検討してまいりたいというふうに考えております。

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