3-1学校教育について

 神戸の小学生連続殺傷事件のような事件に対する今後の対策についてお聞きいたします。
さきの阪神大震災は突然起こる自然の災害の怖さ、その防災についてさまざまな問題を私たちに投げかけてくれました。同じ神戸で起きたこの異常な少年の殺傷事件も、人間の持つ精神の恐ろしさと、また、それに対して無防備であればあそこまでやるんだということを私たちに教えてくれたように思います。
この事件を当初マスコミの方々を初め多くの人が、管理教育などの学校の問題、学校教育の問題としてとらえました。今でもその論者は多くいますが、これだけで片づけられてしまうと問題の本質があいまいにされていくように思います。この事件を教育問題、法律や社会問題としてとらえていくのか、また容疑者少年の特異な精神の病理によるのか、これを県としても総合的に分析しておく必要があると思います。というのは、この種の事件は今後もふえていくと思われるからです。
そこで、教育長にお伺いいたします。
この神戸の事件については、教育長はいち早く六月議会において学校教育の問題としてとらえ、子供の人権を大切にした教育活動、管理職員の指導徹底等、答弁されています。この少年の兵庫県警での供述の全般にわたる要旨が報道された現在において、依然として学校教育の問題として、あるいは学校教育に比重を置いた問題としてとらえているかどうか、まずお伺いしたい。

 神戸の事件につきましては、家庭裁判所へ送致された少年が精神障害の状態にあったとの報道がなされております。今後審判が再開される予定でありまして、現段階において断定的なことは言えませんが、学校教育だけの問題とは言えないのではないかというふうに受けとめております。

 

 文部大臣は八月四日、心の教育の在り方について中教審に諮問しています。この心の教育といった言葉が、この事件以後、従来に増して教育関係者の中で盛んに使われていますが、豊かな心をはぐくむ教育をどのように進めているか、また、いこうとしているかお伺いしたい。

 小・中学校では生命を尊重する心や他人を思いやる心、自然を愛し、美しいものに感動する心などの育成を重視しておりまして、ボランティア活動や動植物の飼育、栽培活動など、さまざまな体験的な活動を取り入れ、道徳、特別 活動など、すべての教育活動を通して豊かな心をはぐくむ教育を推進いたしております。

 

 

 また、諮問の中にも、親の子供たちへの接し方については、無責任な放任や過保護、過干渉といった傾向が指摘され、親のあり方に触れ、家庭教育の検討が打ち出されています。県として、現在、この家庭教育の支援はどのように進めているのか。家庭、親のあり方についてどのように取り組んでいこうとするのかお聞かせください。

 家庭教育はすべての教育の出発点でありまして、いわゆる生きる力の基礎的な資質や能力である基本的な生活習慣や生活能力の習得、豊かな情操の形成、他人に対する思いやり、善悪の判断などを身につける上で極めて重要であると認識をいたしております。

 

 

 また、県内のある市町村では、親と子の接し方等、親としての教育講座というものを行っているところもあると聞くが、こういった親の親としてのあり方についての講座は県としても積極的に進めていくよう指導すべきと思うがどうか。

 親の親としてのあり方についての講座につきましては、七十五の市町村がそれぞれの創意工夫によって実施をいたしております。私どもといたしましても、家庭教育資料「育て千葉っ子」の刊行、千葉県教育放送の利用、社会教育・家庭教育指導員の研修講座の開設などを通 しまして、市町村の取り組みに対し積極的に支援してまいりたいと考えております。

 

 

 また、先月の九月十五日付の新聞によると、兵庫県警の教師らへの聴取の中で中学の複数の教師は、日ごろの少年の言動等で二月の女児殴打事件の際に犯人は容疑者の少年だろうと思っていたと述べています。このように学校側の対応によっては、その後の殺傷事件を防げた可能性もあり、このあたりに大きな問題が潜んでいると思います。子供の人権を守るとはもちろんかかわらないということではなく、子供を犯罪者に、また子供を被害者にさせないという積極的な周りの姿勢だと思います。
そこでお聞きいたします。こういった事件の予防として、教師一人が悩むのではなく、学校、カウンセラー、PTA、保健所、警察等々、多方面の方々が一堂に集まり、予防対策を協議する場をつくるべきと思うがどうか。

各学校におきましては児童・生徒の心身の健康を保持、増進させるために、学校職員と学校医、PTA代表などが、それぞれの立場で意見を出し合い、問題の解決を図るために学校保健委員会を設置いたしております。