4-1環境ホルモンについて

 国内の新聞ではまだ余り大きく扱われていませんが、ヨーロッパ、アメリカにおいては人や動植物の生殖機能を損なう内分泌攪乱物質、つまり環境ホルモンが今大きな関心を集めています。環境庁もことしの三月研究班を設け、ことしの七月十八日に環境ホルモンは精子の数の減少や発生過程への影響が懸念され、次世代の影響も含めて調査が必要という中間報告をまとめました。
この環境ホルモンは、プラスチック容器、農薬、包装材、入浴剤、合成洗剤、ダイオキシン、缶詰の内面コーティング、また海上の油流出事故で使われる油処理剤にも環境ホルモンが含まれているとされています。環境庁の研究班では環境ホルモンとして約六十七品目をリストアップしていると聞いています。
この環境ホルモンは体内に取り込まれると、女性ホルモンのエストロゲンと呼ばれ、内分泌の攪乱物質として生殖機能に大きな障害をもたらします。数年前より自然界で環境ホルモンの影響が見つかり始めています。カエルの卵が受精したはずなのにかえらないで腐っていたり、米国のフロリダ州の湖ではワニのペニスが半分から四分の一の大きさになったり、また日本の例では、全国百ヵ所の海岸を調査したところ、すべての海岸の巻き貝イボニシの雌にペニスができる生殖機能の異常が報告されています。
さらに、人においても精子の数の減少が報告され、デンマーク国立大学病院の研究グループでは、人間の精子がこの五十年間で半減したと発表し、フランスにおいても一年に二・一%ずつの割合で精子が減少していると発表がなされています。こうした環境ホルモンの問題は、子供たちや次の世代にとってより深刻で、ついにここまで来たかというほど鬼気迫るものがあります。
今、県内においても主婦の方を中心に勉強会、セミナーが徐々に開かれ始めています。県においては、ちば新時代5か年計画において環境汚染の防止対策の推進が言われ、高度な分析施設を持って化学物質を研究し、有害物質による河川等の汚染に関する実態把握を推進するとうたわれています。
そこでお伺いいたします。今後、ダイオキシンとともに、あるいはそれ以上大きな問題になっていくと言われている環境ホルモンに対して、県としてどのように対処していくのかお伺いいたします。

 生物の生殖とか、発育機能等への影響が懸念されております環境ホルモンにつきましては、新たな環境問題として国際的に注目をされているところでございます。環境ホルモンについては、対象となる物質、人等への影響など、十分に解明されていない部分も多いことから、総合的な調査研究が必要であり、国においても環境庁が本年三月に研究班を設置したのを初め、厚生省、通産省においても調査、検討を開始したというふうに伺っております。今後はこれら国の動向を注意深く見守るとともに、県としても、化学物質にかかわる情報の収集等のために設置しております化学物質環境保全対策検討会を活用して、知見の収集に努めてまいりたいと考えております。