5-1遺伝子組み換え食品に対して

 ことしの二月定例県議会で、東京都議会に次ぎ全国で二番目に遺伝子組み換え食品の表示と安全性の再検討を求める政府への意見書が採択されました。以来、県内及び全国の自治体の議会において大きなうねりが起き、九月初旬において実に三百六十二の自治体の議会が同様の意見書を採択するに至っています。また、遺伝子組み換え食品の輸入に反対し、表示を求める署名は四月において四十五万人集まり、厚生大臣に提出されました。九月現在においては百数十万集まっていると聞いています。
私も遺伝子組み換え食品に関するアンケートを地元千葉市美浜区で行いました。無作為に五千人の方々にアンケートを依頼し、協力をお願いしたところ、百人近い方々の回答があり、その中で遺伝子組み換え食品を家庭で、また子供たちが学校給食で食することに抵抗のある方、表示を義務づけるべきだという方が、回答のあった中で九〇%以上に上りました。気になる方だけが回答してくださったという面もありますが、地域の方々が強い関心と不安を持っているあらわれだと思います。
今まで輸入が認可されている遺伝子組み換え食品は十五品目に上ります。こうした中、新聞報道にもありましたが、ヨーロッパ主要十五カ国でつくっているEU、つまり欧州連合は、先週の九月二十五日、遺伝子組み換え食品は通常の食品と著しく異なるとして、組み換え作物の大豆とトウモロコシを使用した食品すべてに表示を義務づけると発表いたしました。ことしの十一月一日から発効され、それ以前から発売されている製品にも表示が義務づけられるとのことであります。
そうすると。二月定例県議会の要望の中で指摘させていただきましたように、米国・カナダ産の遺伝子組み換え食品が行き場を失って、表示義務のない日本にどっと流れ込み、日本人一億人が総モルモット化されるということが本当に現実のこととなってきたと思います。今、多くの人々は国際貿易等の絡みで輸入される食品の安全性に対し、身動きできない政府を見詰めるだけではなく、もっと自治体の中で食品の安全を守っていこうという運動にかけ、それを盛んにしています。それが三百六十二の自治体の議会が厚生省等に意見書を出すという異例な事態となってあらわれてきたのだと思います。
そこでお伺いいたします。
県執行部においては、二月定例議会で全会一致で採択された政府に対する意見書の精神をどのように受け取り、行政の中でどのような取り組みを行っているのか。

 遺伝子組み換え食品に関する意見書が全会一致で採択され、国に提出されたことにつきましては、食と健康に対する県民の関心の高まりと認識しているところでございます。 県としては、遺伝子組み換え食品について県民の理解を深めるためにパンフレットを作成しまして、保健所等の実施する講習会等を通 して情報の提供に努めておりまして、今後ともより一層県民への情報提供等に努めてまいりたいと考えております。

 

 また、子供を持つ親の多くは、子供たちの学校給食に遺伝子組み換え食品が混在することに不安を持っています。県の教育委員会は食材の原産地を検討し、可能な限り組み換え食品を使わないよう学校給食関係者に通 知すべきと思うがどうか。

 遺伝子組み換え食品につきましては、身体に悪影響を及ぼす可能性があるとの議論があることは承知しておりますけれども、国はこの食品の安全性確保のため安全性評価指針を策定し、個別 の品目ごとに安全性の確認を行っております。

 

 

 

 また、子供を持つ親の多くは、子供たちの学校給食に遺伝子組み換え食品が混在することに不安を持っています。県の教育委員会は食材の原産地を検討し、可能な限り組み換え食品を使わないよう学校給食関係者に通 知すべきと思うがどうか。

 

 遺伝子組み換え食品につきましては、身体に悪影響を及ぼす可能性があるとの議論があることは承知しておりますけれども、国はこの食品の安全性確保のため安全性評価指針を策定し、個別 の品目ごとに安全性の確認を行っております。

 

 次に、県は遺伝子組み換え技術等を使った農産物の品種開発を強化するため、県農業試験場を中心にプロジェクトチームをスタートさせ、十一品目の研究対象を選定し、新品種を開発する計画であると聞くが、遺伝子組み換え農産物の安全性の確認をどのように行うのか、お答え願います。

 

 農業振興の上で、農産物の品質や収量を向上させるために、新品種の育成は非常に重要でございまして、県では、本年度から新品種育成強化促進事業を実施しまして、落花生及びストックについて遺伝子組み換えを予定しているところでございます。
 また、将来優良と思われる組み換え農産物が育成できたときには、農林水産省の農林水産分野等における組換え体利用のための指針に基づき、環境への影響を及ぼさないように隔離ほ場等での栽培試験を慎重に行ってまいりたいと考えております。そして、食品としての安全性についても、関係部課との連絡調整のもと、農業試験場において厚生省の組換えDNA技術応用食品・食品添加物の安全性評価指針に基づき慎重な調査、検討を加えてまいりたいと考えております。