6-1少年事件の前兆の対処について

 次に中学三年の金づち殴打事件のような事件に対する今後の対策について、お聞きいたします。
 昨年九月十六日八日市場市の路上で通りがかりの中学生の頭を金づちで殴り殺人未遂の罪で逮捕されました。
 この少年は、昨年十月末、家裁の審判で「神戸の連続児童殺傷事件の影響を強く受け、現在も酒鬼薔薇聖斗の影響を脱していない側面 があり、矯正施設にて資質面を改善する必要がある」として少年院送致が決まりました。
 私は平成九年の九月議会で神戸の連続児童殺傷事件、昨年の六月議会で西鉄高速バス乗っ取り事件を取り上げ、この種の事件は、今後増える、行政が総合的な対処を考えていかねばならない、
 また、事件が起きたらその処理については、行政の所しょう区分は、できているが、罪を犯す前の、一人の少年にも罪を犯させないという事前の防止が行政の中に充分ではない、ということを再三議会で取り上げさせて戴きました。
 今回も、「この種の事件に対する今後の対策について」いろいろな角度からお聞きしたいと思います。

 

 まずこの種の少年事件の前兆の対処についてお聞き致します。
 昨年の十二月二十一日警察庁は、平成十年から平成十二年五月までの特異で凶悪な二十二の少年事件を対象に前兆や背景を調査した「少年による特異・凶悪事件の前兆等に関する分析調査」の結果 を発表し、新聞でも大きく取り上げられました。
 この調査には昨年の九月の千葉県の金づち殴打事件ははいっていませんが、それによりますと事件を起こした二十五人の少年の九割が、ナイフへの執着、犯行をほのめかす言動、動物虐待などの前兆行動を見せ、また五割以上の少年がいじめをうけ、さらに神戸の連続児童殺傷事件の影響を受けていた少年は、実に二割に及んでいたとの結果 であります。
 周囲も前兆を把握していながら適切な対応をせず、犯罪に至らしめた実態、また家庭、学校、警察、医療機関の連携の強化の必要であるとされています。
神戸連続児童殺傷事件においても、二人の教師が「犯人はあの少年に違いないとわかっていた」と供述しています。
 このことを平成九年の九月県議会でも、「子供の人権、プライバシーはもちろん大切なことでありますが、もし事件の深刻さを認識し、少年にこれ以上の事件を起こさせない気持ちがあれば、犯罪を止めることができた。」と述べ、学校を含めた周囲の方々の犯罪防止の思いが必要であることを訴えさせて戴きました。
 また昨年の六月議会でも、少年のサイコパス、行為障害に入った子供は、もちろん人権は守られ、プライバシー保護は、当然大切であります。しかし、それを楯に、放置しておくことの決してないよう、学校、福祉、保健所及び警察が深く連携していくべきだということを訴えました。
 子供の心と向き合い、その子供に絶対、罪を起こさせない、と言う断固とした決意で関わり、情報を交換しあうことが行政においてもとても大切であると思います。
 こうした少年の凶悪事件が増えつづける背景を踏まえ、特に学校と警察の連携や情報交換について、どのように考えどのように行なおうとしているのか、今回もお聞きいたします。

 各学校と警察等が連携を図ることは非行防止・健全育成にとって重要なことと考えており、生徒指導上有益な情報を共有したり、地域のパトロール、街頭補導等を行っている。また、県教育委員会と警察との交流・連携も図っている。

 

 この金づち殴打事件の前兆として、家庭でも「酒鬼薔薇」の犯行声明文を暗唱したり、家族にも友人にも興味をもつなとたしなめられたり、学校の黒板に「酒鬼薔薇」と書いたり、したのを教師が見つけ、「こんなことを書いたり、興味を持ったりしたらだめだよ」とたしなめていた、と報道されています。
 少年は「酒鬼薔薇」をインターネットで探し出し、それがまるで一つのパスワード、キーワードとなって少年の脳裏を支配し夢うつつのうちに犯行に及ぶ事件となっています。
 「警察庁の少年事件の前兆調査」からも二割の少年が、この「酒鬼薔薇」に影響されていたと報告されていますが、学校及び警察は、金づち殴打事件のような類似事件が今後も起こりえるとし、当然その対策をそれぞれ考えるべきであると思うがどうか?

 県教育委員会としては、スクールカウンセラーや心の教室相談員の配置、スクールアドバイザーの派遣等を実施してきたが、更に平成13年度は、スクールカウンセラー配置校を20校増やして130校としたり、「子供発達支援センター」の設置準備を進めることとする。
警察としては、「学校・警察連絡協議会」を通じて問題少年の把握ときめ細かな指導助言を行うこと、警察と県教育庁との人事交流を行うこと、「千葉県警察少年センター」を格として問題少年の早期把握と適切なケアーが行われるように努める、そして最近の非行行動・具体的事例等について広く紹介することを推進していきたい。また、重大事件に対しては、少年事件特別 捜査隊を投入することとする。

 

 また、青少年健全育成の観点から、様々な有害ビデオ、冊子については店頭における規制があるが、インターネット上の様々な有害電子情報については、どの様に考えているのか。

 インターネットの利用に当たっては個人個人のモラルに負う部分が大きいため、正しい知識の普及に努めることが必要であると考える。

 

 アメリカにおいては、明らかに青少年に有害な情報、歴史の改ざん的な情報等の防止すべき全国組織ができあがり、発信元やプロバイダー側に対し削除を申し入れる機構があるときくが、県としても青少年健全育成のためのインターネット有害情報防止連絡協議会設立など研究検討すべきと思うがどうか?

 県としては、昨年10月に知事を本部長とする「千葉県情報化推進本部」を設置したところであり、今後健全なインターネット利用を検討する。