6-2少年の凶悪事件の発生原因と教育に関して

 

 次にこの種の事件の発生原因と教育に関しお聞き致します。
 金づち殴打事件の少年は、千葉家裁の支部にて初等少年院送致の保護処分を受けその決定要旨において、「少年は同級生から馬鹿にされ、無視されていると感じ、何とか周囲に自分を誇示したいと考えていた、そこにインターネットから「酒鬼薔薇」が入ってき、これと同じと見られれば周囲に注目されると思い込み、本件非行に及んだ。
 本件は少年が周囲の者とのかかわりで培われる共感性を獲得出来ず、同級生らと年齢相応の交流がうまくできないところに起因している。少年には、周囲との共感性をはぐくむ教育を施すべき」と述べています。
 私はこの八日市場支部の家裁決定要旨を読み、こうした周囲と交流できない少年が、実は大変な数にのぼり、やがて「酒鬼薔薇」か他のキーワードまた何かのきっかけで顕在化することに私達大人が脳天気に気付いていないだけではないかと感じました。
 少年の犯罪を医学的に関わってきた医師によれば、こうした周囲との共感性を持てない少年は、友人からの疎外経験をきっかけに、空想のなかで、人間や社会なんてこの程度とかってに決めつけ独自の価値観を形成していくと言っています。
 私は、その空想の中の価値観形成の手助けをインターネットが強力に、膨大な数の少年に与えていると思います。
こうした厳しい環境の中、教育の役割は新しい次元で、緊張をもって考えていかねばならないと思います。
 問題は、昨年の六月議会でも取り上げましたが、妄想に近い空想によって行動が影響される少年に対し、この空想に勝てる価値観を私達大人が示せ得ないのが問題であると思います。
 あっさり言えばそうだと思います。
 これからの教育は知識ではありません、知識ならインターネットにかないません。知識ではなく感情をともなった大人の価値観、心をどこまで子供に伝え、その価値のもとに子供が鍛練し、ときには我慢強く自分を制御でき自立していけるかという、昔からどの共同体にもあった精神の鍛錬、言葉の羅列ではなく、心に響く価値観の創出、こうした基礎的習慣。生活の知恵を考え出さねばならないと思います。
こうした少年の凶悪事件を起こす少年の心の情景、またインターネットが与える仮想現実の影響等、今までの国からの一律な学校教育でとらえられない状況が出てきました。
 そこでお聞きいたします。
 新しい世紀を迎えたわけですが、県教育委員会としては、家庭、地域、学校を含んだ教育の方向性をどのように考えているかお聞かせください。ぜひ教育委員さんの見解をお聞かせ下さい。

 教育長期ビジョンにおいて「学校、家庭、地域の輪を広げる」ことを大きなテーマにしている。そのための施策の方向として、子供達が地域の人々との関わりの中で望ましい成長を計れるような環境づくりに努力しているところである。